ダウンスイングで骨盤を正しく動かすのは、ゴルフスイングにおける難関の一つだ。どのように動かせばよいのか。
ダウンスイングが難しい理由
ダウンスイングでは、背骨中心の回転を行う。回転は「ダウンスイングからインパクトの肝」にあるように、テークバックの捻転を保ったまま、下半身の力で回転する。
しかし、この運動を、前傾姿勢で行おうとすると、とても難しい。
日常の生活において、そのような動きがないためだ。
直立したまま回転する動きならイメージしやすいのだが、前傾を保ったまま回転する動きは、他のスポーツにもないため、イメージしにくい。
正しい骨盤の動きを体感する
では、どのような動きが正しい動きなのだろう。
正しい動きを体感するには、直立した状態からやってみるのがわかりやすい。
やってみよう。
まず、直立した状態で、テークバックの形をとる。骨盤は約45度、胸は90度回転した状態だ。
そうしたら、その捻転を保ったまま、ゆっくりと骨盤を回転させ、ちょうど骨盤がボールの正面に来たあたりで止める。胸は45度右を向いた状態だ。
この状態で、股関節から曲げて、前傾姿勢をとってみよう。
どうだろう。
今まで行ってきたダウンスイングの時の骨盤の形とは、かなり違う感覚なのではないだろうか?
実は、これが正しい骨盤の動きなのである。
よくある骨盤の間違った動き
ダウンスイングでよくやってしまう間違った骨盤の動かし方として、骨盤を飛球線方向にスライドさせてしまう動きがある。
「ダウンスイングでは体重移動して」というレッスンの言葉を誤って受け止めてしまい、一生懸命左足に体重を移動させようとしてのことだが、これだと軸がずれるだけで、骨盤は回転しない。
そのために、背骨中心の回転エネルギーが十分発生せず、ボールに大きなエネルギーを伝えることができない。
この動きは同時に、右腰と右ひざが飛球線方向の斜め前方に突き出すような動きになる。こうなると、前傾が保てず上体が起き、手元が浮き上がってトップボールが出やすくなる。
正しいインパクトの形
続いて今度は、正しいインパクトの形も体感してみよう。
もう一度、直立してテークバックする。
先ほどと同じように骨盤をゆっくりと回転させるのだが、今度は左45度の位置まで回転させる。胸はほぼ正面を向いた状態だ。
この状態で前傾をとる。
そうすると、ほぼインパクトの形になる。
どうだろう。
これも、いつものダウンスイングの時の形と比べてほしい。
連続して行う練習
バックスイング、ハーフスイング、インパクト、のそれぞれで、正しい骨盤の形がわかったら、あとは連続して身体を動かしてつなげていけばよい。
初めはなかなかうまくいかないかもしれないが、そういうときは、「テークバックの体の動かし方」でも行ったように、小さな動きから練習するのが良い。
直立した状態で少しだけテークバックして前傾し、その状態からインパクトまで骨盤を回転させるのだ。
何度か繰り返し、慣れてきたら徐々に大きな動きにしていく。
ちなみに、このようにゆっくりと試しながらスイングする際には、スタンス幅は実際のスイングの時よりも狭めにしたほうがやりやすい。
ふところのある骨盤の動き
正しい骨盤の動きでは、いわゆる「ふところ」ができた動きになっていることがわかると思う。
前傾が保たれて骨盤が回転しているため、手元の位置も低い位置のままスイングができるはずだ。
この動きであれば、背骨中心の軸回転が正しくできているので、最大のエネルギーをボールに与えることができるのだ。