正しいアドレスの形はわかった。また、正しいトップの形もわかった。
よし、テークバックしてみよう、となるのだが、実際やってみるとどうだろう。
なかなかすんなりとはできないはずだ。
アドレスの状態から少し体を回転させようとしたところで、「あれ?」「ん?」「どう動かすんだ?」となるはずだ。
どうすればよいのだろう。
筋肉に覚えさせる
「どう動かすんだ?」という反応は、とても自然な体の反応だ。
頭ではわかっていても、今までの練習で行ってきたテークバックの動きを記憶してしまっているために、その動きと違う動きをしようとしても、うまく動かせないのである。
これを解決するには「練習」しかない。
でも、ちょっとその前に改めて少し考えておきたい。
果たして、「練習」とは何なのか。
それは、「正しい動きを筋肉に覚えさせる」ということだ。
これまでに覚えてしまった誤った動きを、正しい動きで上書きしてやる、ということだ。
これが、本当の「練習」だ。
正しい練習とは
話は脱線するが、よく目にする間違った練習について、ちょっと触れておきたい。
練習場でのよくある風景はこうだ。
まず初めに、SWなどで肩慣らし。ここまではいい。
そして次に、7番アイアンなどのショートアイアンで打ち始める。が、初めはトップしたりダフったり。
「あれ、こうかな?」と素振りなどして、もう一度。そんなことを繰り返すうちに、何回かはそこそこ当たるようになる。
そうすると、「よし」と満足げな表情を浮かべ、おもむろに違うクラブを抜いて、同じように打ち始める。後はこの繰り返し。
実は、この練習には何の意味もない。なぜか。
それは、筋肉に正しい動きを覚えさせる、ということを行っていないからだ。
いい球が打てるようになってからが、実は本当の練習の始まりである。いい球が打てた時の動きを何度も何度も繰り返し、その動きを筋肉に覚えさえせるのだ。
いい球が打てた段階でやめてしまって次の練習を行うのは、いい動きを筋肉が覚える前にやめてしまうことになるので、全く意味がないのである。
初めは小さな動きから
話を元に戻す。
では、どうやってテークバックの動きを習得するか。
効果的なのは、「はじめは小さな動きから」である。小さな動きができないのに、大きな動きができるはずがない。
小さい動きから筋肉に覚えさせ、だんだん大きな動きにしていくのである。
具体的なやり方はこうだ。
まずまっすぐ立ってみる。腕は胸の前でクロスさせる。
そして、直立したままの状態で、ほんの少しだけ右に捻転させる。角度としては、だいたい20度位だろうか。胸の向きが、つま先の方向を向くくらいだ。
そして、その状態で、前傾してみる。軸が左右に傾かないように注意しながらゆっくりと。
できただろうか。
この体勢は、実はテークバックを始動した直後の体の体勢になっている。小さなテークバックだ。
この体の形を覚えておく。
そうしたら、体を正面に戻し、普通に前傾してアドレスの形を作る。そして、そこから先ほど覚えた20度のテークバックの形になるまで体を動かしてみるのだ。
できただろうか?
これでも初めは難しいはずだ。
もしできなければ、もう一度、直立した状態からテークバックの形を作って記憶しなおす。
もしくは、捻転させる角度を10度に減らしてやってみる。
これを、筋肉が覚えてくれるまで何度も繰り返すのだ。
小さい動きから始めるこの方法であれば、10回も繰り返せば、なんとなく筋肉が覚えてくれるはずだ。
そうしたら、だんだんと角度を大きくし、最後は肩のラインが90度捻転された状態まで、テークバックを大きくしていくのだ。
初めは小さな動きから。