ゴルフスイングでは、遠心力を感じることが重要だとよく言われる。
それは何故だろうか。
そして、遠心力を感じてスイングするためには、どのようにすればよいのだろうか。
遠心力を感じることの重要性
遠心力とは、円運動を行っている物体が円の中心から外向きに飛び出していこうとする力のことで、その名のごとく、「中心」から「遠」ざかろうとする「力」だ。
遠心力の大きさは、回転する物体の重さと、その物体が回転する円の半径と、回転速度に依存する。
いずれも、大きければ大きいほど遠心力が大きくなる。
ここで、物体の重さ、すなわちクラブのヘッドの重さは一定であるため、実質は回転半径と回転速度が大きいほど、大きな遠心力が発生することになる。
一方、ボールに伝わるクラブヘッドの回転エネルギーの大きさはどうかというと、これまた回転半径と回転速度に依存する。
遠心力と同様に、いずれも大きければ大きいほどエネルギーは大きく、飛距離はアップする。
このことが意味することは重要だ。
なぜか。
遠心力と、ヘッドの回転エネルギーのいずれも、回転半径と回転速度が大きければ大きいほど、大きくなる。
ということは、大きな遠心力を体に感じることができているのならば、つまりそれは回転半径や回転速度が大きいことになり、ひいてはボールに伝わるエネルギーも大きい、ということになるからだ。
遠心力を感じるスイングを行うことが重要、という理由はここにある。
遠心力が感じられない理由
遠心力を感じることが大事だということはわかったとしても、遠心力を感じられるスイングができないのはなぜなのだろう。
理由は、簡単だ。
先ほどとは逆に、遠心力が小さくなるようなスイング、すなわち、回転半径が小さくなるようなスイングをしたり、回転が遅いスイングをしているからだ。
人間の体の構造上、回転半径がもっとも大きくなるのは、背骨を中心とした回転だ。
よって、背骨以外の回転軸でスイングすると、回転半径は小さくなる。
具体的には、腕を使ったスイングや、手首でこねるようなスイングのことだ。
また、軸がぶれると素早く回転できない。
ダウンスイングで、右から左にスエーしてしまい、いわゆる左サイドの壁がなくなっているようなスイングがこれにあたる。
このようなスイングを行っている限り、遠心力を感じることは難しい。
遠心力を感じるには
では、どのようにすれば遠心力を感じる事が出来るのだろうか。
やってみよう。
前傾姿勢を取った状態からだとコツをつかむのが難しいため、はじめは直立した姿勢でやってみるのが良い。
まず、アドレスの姿勢をとったら、前傾をほどいて直立する。
その状態で、テークバックの位置まで体を捻転させる。
そして、直立した状態のままでフォロースルーまでクラブを水平に振ってみる。
この時、腕でクラブを振ってはいけない。
腕には力を入れず、背骨を中心とした回転で振ることが重要だ。
また、ダウンスイングで背骨の軸が左に流れてしまうと、これも遠心力を感じられない。
「ダウンスイングで左サイドの壁を作ることができない人が知っておくべき、骨盤の正しい動かし方」で述べたように、左サイドの壁を意識して、軸がぶれないようにして振ることが重要だ。
はじめは上手くいかないかもしれないが、何度も試行錯誤してみると、そのうちクラブに体が引っ張られるような感覚が生まれてくるはずだ。
この感覚こそが遠心力だ。
この遠心力を感じてスイングすることが、とても大事なのだ。
垂直に立った状態で遠心力を感じることができたら、徐々に前傾をつけてやってみる。
これも、初めはなかなかうまくいかないかもしれない。
コツは、腕の脱力と、左サイドの壁だ。
遠心力を感じてスイングすることができるようになった時、大きな飛距離アップを手に入れることができるはずだ。